【山へ入らなければ、自然は何も分からない】
先日、福島の奥会津にある金山町を訪れた。
昔、日本の山々には、オオカミがいた。
そのおかげで、自然界の食物連鎖は成り立っていた。
...しかし、環境の変化や時間の流れとともに、日本のオオカミは絶滅してしまった。
それから、山々の自然が大きく変わった。
シカやイノシシが増え、人間からは有害鳥獣とされ、狩猟によって、一時期、絶滅の一歩手前まで追い詰められた。
その後、人間の過保護によって、爆発的に増加し、今までいなかった場所にまで、現れるようになった。
そして、また有害鳥獣とされてしまった。
しかし、今は、昔のように、山々のことを知っている人も少なくなり、ハンターさんも少なくなっている。
(最近は、自分と同じような協力隊で担い手も増えているが。)
動物だけでなく、山々の木々も変化した。
杉林の増加である。
今、山にあるほとんどの杉の木は、昔、植林されたもの。しかし、その後、山を管理する人が少なり、杉を管理する人も居なくなった。
(材木としては、若いうちにしか使えない。木の値段が下がったり、木を切るための許可や労働に対しての対価が見合わなくなった。どれも、人間が勝手に決めて、勝手にやってきた。)
杉の林は、山々に差し込む光(木漏れ日)を少なくし、他の植物を生えなくさせる(山を歩くと、実感できる)。
山に緑があるだけで、自然がいっぱいあるなんて、思っちゃいけない。その植物は、他の動植物とどんな関係を築いているのかまで、目を向ける必要がある。
自然は、どれだけ傷つけても、何も言わない。
だからといって、何もないとは思えない。
自然からのしっぺ返しはいつくるのだろうか…最近の天変地異や異常気象は、その序章でしかないのかもしれない。
福島県奥会津のマタギの方から聞いたお話。
毎日のように、山を歩き、山に感謝を捧げ、山と向き合い続けているからこそ、分かることなのかもしれない。